「社員権スキーム」ってなに?
記事が公開されているときには法律が施行されていると思うのですが…見ましたか?
「社員権スキーム」ですか?
社長が動画でよく詐欺に使われると話しているものですよね?
▼動画で内容を確認したい方はこちらからどうぞ。
過去の動画や記事を見ている方は聞き流していただければと思うんですけれども…
合同会社というのは、株式会社・有限会社のような会社の形態の1つです。
その合同会社というのは資金調達のやり方や経営の仕方に柔軟性が利くんです。
どういうことかと言うと、多くの方々からお金をお預かりしてその方々のことを社員と呼ぶんです。
合同会社は社員と呼ばれる投資家が集まって、その方々で1つの事業をやっていく。
そこで得た利益を社員に分配するという仕組みなんです。
イメージで言うと、株式会社の株。
ただ株を発行する時に色々な制約があって、例えば議決権を◯%以上持っていないと経営決定ができなくなるみたいなこともあります。
34%、51%、67%が重要なんですけども…そういう法的な縛りが合同会社は大きく異なります。
ですので、ポンジ・スキームと呼ばれるお金を投資家から集めて、その集めたお金を配当に払うといった悪さをしている方々がこぞって合同会社を利用していたんです。
ここにメスが入ったという話です。
過去の巨額詐欺事件のほとんどが合同会社です。
実際、何が変わるの?
これを会社とは関係ないブローカーや代理店がネズミ講のようなやり方で色々な方に社員権を販売させて資金を回収して、そこから紹介料等を払う。
完全にネズミ講なんですけど…
社員が募集していれば公募(公の募集)ではなく、私募にできたんです。
ただ正直社員じゃない人も一緒になって売っていたんです。
これは違法だったけれど、グレーでモヤッとしていた感じですね。
それが大きく変わりまして、10月3日以降は職務執行者と呼ばれている会社で言う社長みたいな人しか勧誘ができなくなったんです。
これが大きな違いです。
ある程度の説明は社員がしても良いと思いますが、最終的に合意をしたり契約書面を締結するっていう時には社長のような人(職務執行者)しか勧誘活動ができないので「今までネズミ講的に一気に規模を拡大して集金システムを作っていた詐欺会社は一気に苦しくなるんじゃないかな?」と思います。
なので今後はお金を集められなくなる。
※ 職務執行社員は代表者が法人の場合の読み方です
※ 代表社員が個人の場合には業務執行社員と呼びます
うちも持っている会社のうち1〜2社は合同会社っていうやり方で作っていて、法的に決められているような「社員さんの力を借りてみんなでやっていこう」という会社もあります。
うちで言うと、私しか募集ができなくなるという風に変わったということですね。
合同会社という仕組み自体は当然適法なわけなので。
そこの法律を守っているのであれば、全く問題はない。
ですので、多くの方から資金を調達して事業をすること自体が問題ではありません。
重要なポイントは情報開示の透明性だと思っています。
要は合同会社が詐欺に使われるケースって投資家の方々(社員)に対して、情報開示をしていないと思うんです。
これは定款の定めによります。
定款というのは会社の憲法みたいなものなのですが、その定款がどう作られているかによって変わってきます。
少なくとも財務諸表、要は決算を締めた時に社員には閲覧の権利があります。
ただ、社員から「見せて!」と言われても、見られる期間を1週間に限定している企業もありします。
物理的に忙しくて見られないですよね。
年末のある時期だけしか見られない合同会社もあるんです。
つまり、裁判をやったら負けると思いますが「事実上見られないよね」ということです。
これは、情報開示をしていないのと変わらないんです。
そういった決算書を見せることはもちろんなんですが、毎月どういう動きをしているのか、お金の出し手は気になるじゃないですか?
そこに対して状況を上手くいっていない時でもちゃんと伝える。
そして「我々は同じ船に乗っているんだから応援してください。一生懸命頑張っていきましょう。」と、投資家の方(社員)に対して情報を開示していく。
こういう姿勢を持っている方には「投資しても良いんじゃないかな」と思います。
あとはリスクの説明もですね。
要は「元本は約束されていません。事業がうまくいけばお金は増えますが、うまくいかなかったらすべてが無くなります。」という説明をちゃんとしないといけないと思います。
事業が「うまくいく」とは?
配当は利益剰余金から払うので、その合同会社が利益を出せれば配当が出せます。
利益が出せない(大赤字)であれば、物理的に配当が出ないんです。
利益剰余金から配当する決まりになっています。
株式会社は、資本金や資本剰余金から配当が出せます。
新しく入ってきた投資家のお金で、元々の株主に配当を出すことは株式会社であればできる。
しかし合同会社は集めたお金でお金を支払う、つまりポンジ・スキームですね。
これができないんです。
ですので、ちゃんと利益を上げて、利益が上がったということは法人税も納めて、その後に残ったお金が純利益です。
ここから配当を出すので「ポンジ・スキームなのではないか?」と怪しまれている会社はほとんどが利益を出していないはずです。
つまりポンジ・スキームのはずです。
そもそも情報開示をせずにここまで来たから、そのような会社に対して「決算書を見せてください」と言っても、時すでに遅しなんです。
ですので、投資の入り口で見極めないとお金は返ってこないです。
申し訳ないですが、危ないと言われている会社に事業投資をしている方は苦しいと思います。
返ってこない可能性が高い。
ちゃんと投資家(社員)に対して還元していこうという真っ当な考えを持っているのであれば、そういうトラブルにはなっていないはずです。
ほとんどの会社がトラブルを抱えていますよ。
そういう会社に投資をしてしまっているのであれば、今からやれることは少ないです。
なので良い勉強になったと思って、今後新しく投資をするときにはしっかりと活かしていく。
合同会社って何?社員権って何?というこの辺は、当たり前の知識として覚えておいてほしいなと思います。
今後「こんな投資があるんだよね」と誘われたら、この動画を改めて見返して「その合同会社が法律を守っているのかどうか?」をちゃんと見極めてから投資をするようにしていただければなと思います。
本日のまとめ
今日は「合同会社の社員権スキームにメスが入った」という話をさせていただきました。
ありがとうございました。