時事ネタ

商船三井が絶好調!株主への配当金も奮発できた理由とは?【時事ネタ】

商船三井のボーナスが500万円?

安藤
安藤
この前ネットの記事を見ていたのですが…
商船三井という会社のボーナスの支給額が出ていました。
それが1人あたりなんと!平均500万円

▼動画で内容を確認したい方はこちらからどうぞ。

細川
細川
それは年収の間違いではないのですか?
安藤
安藤
ボーナスです。
会社四季報を見たら社員数が1,100名ぐらいの会社でした。

分かりやすく1,000名にしましょうか。
500万円支給したということは、×1,000名ということで、ボーナスとして50億円を従業員に配ったということです。

細川
細川
ちなみに商船三井というのは、どんな会社なのですか?
安藤
安藤
三井財閥で、海運事業をやっています。
外国から何かを輸入するときは、物流のほとんど99%が実は海から運ばれるんです。
細川
細川
あまり空からの輸送はないのですね。
安藤
安藤
そうなんです。
これには色々な理由がありますが、やはり飛行機を飛ばすコストと船を進めるコストとでは、船の方が安いのです。

船は物流の非常に重要な部分を担っています。
この3年弱、コロナ渦になってから色々な要因がありますが、ECサイトでの購入(電子商取引)が伸びて、それにより海運事業がものすごく伸びたのです。

そもそも商船三井という会社は財閥の会社ということもあり、平均年収が1,000万円を超えているのです。

年収1,000万円×従業員1,000人とすると、それだけで100億円です。
普段から100億円を従業員に毎年払っているのですが、今回はそれに加えて50億円のボーナスを出したという話になってきます。

細川
細川
100億円や50億円など…
大企業にとって「はした金」じゃないですけれども…そういった扱いなのですか?
安藤
安藤
大きな会社でも年間の利益やいろんな経費などを差し引いて、残る利益で150億円を出せているというのは、なかなかなことです。
すごく大きなお金ですよ。

商船三井というのは、それなりに奮発してボーナスで50億円を出しています。

株主への配当金も奮発!!

安藤
安藤
ただその50億のボーナスを出した期(2022年の3月期)は、なんと純利益が7,000億円だったのです。

資産形成チャンネルの視聴者さまは、なんとなく会計の知識も勉強できているとは思うんですけれども…
純利益というのは、企業が営業活動をして法人税も払って、その後に完全に残る利益です。

別の言い方をすると「株主に帰属する当期純利益」ですね。

決算書で重要な「財務三表」とは?PL/BS/CFを分かりやすく解説します!!会社の決算書の読み方 https://shisankeisei-channel.jp/kessansyo/ ▼動...

つまり保有しているのは株主なので、株式会社の株主に7,000億円が入り、その中から150億円を出したという話です。

会社は利益を出したら、従業員への還元以外にも他に還元するところがあります。
これはどこだか分かりますか?

細川
細川
それこそ株主ですか?
安藤
安藤
そうです、株主に配当を出します
今回どれくらいの配当を出したかと言うと、7,000億円の中から約1,000億円を出しています。
細川
細川
では、この株を持ってる株主は結構…
安藤
安藤
そういうことです。
個人の投資家の方でもここ数年間「海運系の会社の配当利回りが、とてつもないことになっている」という話が盛り上がっています。
配当利回りが約15%にもなっているのです。

つまり商船三井の株を100万円分、コロナ前に買っていたとすると、その株価は約4倍。
今は少し落ち着いたのですが、それでも約300万円ぐらいまでいっています。
その300万円に対して15%、45万円の配当が得られるのです。

細川
細川
最初に入れたのが100万円ですから、それで考えると45%ということになりますよね。
安藤
安藤
そういう見方もできますよね。
というくらい、株主や従業員が恩恵を受けることができています。

営業利益よりも純利益が大きいのはナゼ?

安藤
安藤
会計的な話なのですが、面白いことに7,000億円の当期純利益を出した商船三井の売上高は約1兆円なのに対して、本業の営業利益は約500億円しかないのです。

営業利益が約500億円なのに、純利益が7,000億円。
どういう意味か、分かりますか?

細川
細川
意味が分からないです…
安藤
安藤
そうですよね。
株式投資をやっている方は覚えた方が良いと思いますが、営業利益というのは、その会社が本業で稼いだ利益です。

その後に経常利益(本業以外で稼いだ利益)があって、そこに対して法人税が課税され、純利益になります。

ですが今回の商船三井の営業利益は500億円しか出ていません。
そこから7,000億円の純利益を生み出しました。

細川
細川
船での輸入などで活発化して儲けたという話ですが、それは本業という扱いではないのですか?
安藤
安藤
これは特殊な話なんです。
商船三井が持っている船などで行った仕事によって生まれた利益というのは、500億円でしかないのです。

今回なぜこのようなことになったかというと、2017年に商船三井、川崎汽船、日本通運の3社で、ジョイントベンチャーを作りました。
共同で会社を1社作っているんです。

それが「Ocean Network Express」と言って、略して「ONE(オーエヌイー)」です。
ワンとも読めますね。

コンテナで海外に物を運んだり物を持ってくるという、コンテナ船に特化した事業をやっている海運系の会社です。
このONEの利益が、1年間で約2兆円も出たのです。

3社の出資で作っている会社なので、出資持分に応じてその子会社の利益を取り込むことができます。

商船三井はONEに対して、約31%を出資しています。
営業外の収入、つまり子会社からの吸い上げが約7,000億円だったのです。

なので株式投資をやっている方からすると、この海運系3社のどこを買っていたとしても、同じようなことになっています。

ONEの各社が配当金をどれだけ増やしたかというデータが出ていたので共有すると…
例えば商船三井は、前年同期は1株当たり150円だったのが、1,200円と10倍近くまで配当金を増やしました。

他にも川崎汽船については、前年同期は0円。
つまり無配だったのが600円出すようになりました。
日本郵船に関しても、200円だった配当金が1,450円になりました。

株式投資をやっていた方からすると、いきなり8倍や10倍という配当をもらえたわけですから「投資をやっておいてよかったですね」という話になると思います。

海運業界への転職はアリ?

細川
細川
しかしボーナスが500万円も出るとなったら、僕も含めて転職したいという人もいるのではないでしょうか?
安藤
安藤
たしかに500万円もボーナスが貰えると聞いたら「うちの会社って、一体なんなんだ」と思ってしまいますよね…

ただ証券会社のページから、商船三井などの業績を見ていただきたいのですが、今まではずっと低迷してました。

それがここ数年の海運バブルで業績が上がり株価が上がって、株主の配当も増えている
持ち株をやっている方は、それもメリットになっています。
さらにボーナスももらえる。
しかし、ずっとこの状況が続くかというと分かりません

そういう意味で言うと、安易にすぐ転職を考えるというのはよくないと思います。
来期以降の業績は落ち着くと言われていますからね。
なぜかというと、今後世界経済は確実に停滞していくからです。
そのことを考えると、まずは株を買うなどのアクションから始めるといいのではないかと思います。

「ボーナスを非常に羽振りよく出している」といったニュースを見ることによって、今どの業界が株が上がっているのか?これからどうなっていくのか?全体の経済の流れというのが分かるようになると思います。
ぜひ、色々な会社の決算情報などを耳に入れるようにしてください。

例えば自分が資産形成の業界に所属している場合、それ以外の業界についてはアンテナを張っておかないと全く情報が入ってきません。
こういうところをちゃんと知るためには、日経新聞の電子版くらいは読んでおいた方がいいのではないかと思います。

今日は「商船三井のニュース」を取り上げさせていただきました。
ありがとうございました。

動画で内容をおさらいしたい方はこちらから!