Zillowって、一体ナニ?
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2006年に創業して以来、アメリカの不動産情報に関するウェブ検索のアクセス数の約3割がZillowだと言われているくらい大きなウェブサイトです。
Zillowで取り扱われている物件数は約1億3,000万件くらいあります。
コロナ前の2020年に、Zillowのウェブサイトに新規で見に来る方が3,600万人を越えたそうで、とてつもない集客パワーを持ったウェブサイトです。
今回はZillowのメインのビジネスモデルについてお話していきます。
日本のSUUMOやHOME’Sは分かりますよね?
住宅などの不動産情報を集めているサイトです。
売り物件や交渉中の物件などが掲載されています。
それ以外にも過去の売買の記録だったり、そのエリアの価格推移など、そういったあらゆる不動産情報が掲載されているものがZillowというウェブサイトです。
日本の不動産サイトとの違い
基本的には変わらないのかな?と思ったのですが…
それは情報量です。
日本とは圧倒的に違います。
なぜかと言うとアメリカは投資や資産への意識が非常に強い国なのです。
今自分が住んでいる物件がいくらで売れるのか?というのをほぼ全員が把握しています。
なぜならZillowには膨大なデータが蓄積されていて、周辺の同じような物件の過去の取引事例などが、日本の不動産サイトとは比にならないくらい残っているからです。
日本の不動産サイトはいくつかの取引しか残っていないのです。
なぜかと言うと、前回もお話しましたが日本の国土交通省が展開している「レインズ」というサイトから情報を取得しています。
しかしレインズには日本での全ての不動産取引情報は掲載されていません。
少し難しい話になりますが、日本のレインズというのは媒介契約と言って「売りたい・買いたい」というクライアントが不動産会社や仲介会社に声をかけて、媒介契約を結びます。
その媒介契約の種類によってレインズへの掲載義務があったり、完全に非公開にしてデータ公開せずに裏で取引をするという流れが一般的にあります。
そうすると取引した物件情報は蓄積されません。
つまり、物件情報が登録必須ではないということです。
ではアメリカではどうなっているのか?と言うと、前回お話したアメリカ版のレインズにあたるMLS(Multiple Listing Service)という仕組みがあります。
このMLSの会員になっている不動産業者が取り扱っている物件は必ず掲載しなければいけません。
これをアメリカでは政府がやっています。
そのため、すべての情報を取れるので日本とは情報に圧倒的な差があるのです。
もう1つ違いを上げると、情報の公開範囲です。
不動産取引(売買)をするのは一般消費者ですよね?
この方々に対して情報が公開されているかどうかですが、アメリカのMLSは個人の方も見ることができます。
不動産業者が見るものです。
このように日本は国として情報を非開示にしています。
このような違いがあるからこそ不動産×IT(不動産テック)の領域はアメリカではどんどん生まれていくわけなのです。
日本はレインズから情報を引っ張ってきますが、そもそも情報量が少ないのであまりまともなサービスになりえないということです。
どこかのタイミングで日本も国も開示姿勢を変えていけば、もしかするとアメリカのように不動産取引の流れが一気に変わるのでは?と思います。
不動産情報が公開されると起きる影響とは?
全員が物件の適正価格を知っている状態なので、適正価格以上の値段では買ってくれなくなります。
このように取引自体がまず変わってくることが1つあると思います。
他にも今日本で不動産テックと言われるスタートアップサービスのほぼ全てが価値を無くすと思います。
いまAIを用いた不動産の価格査定をするサービスが多数ありますが、結局ほとんどがレインズの情報です。
そこに+αで独自のデータを集めて集めてそれを元に計算式にはめて価格査定をしているんです。
これをそもそも国がデータ管理しはじめたら、わざわざ民間企業にお金を支払って依頼する必要がなくなりますよね。
なのでこれから不動産テックと呼ばれる領域の企業買収・売却していく流れが加速していくのではないかと思っています。
この世界から情報の非対称性がなくなることによって、悲しむ方が減ると間違いなく言えると思っています。
不動産業界の変化に備えて不動産会社が生き残るには?
例えばきめ細やかなアフターサービスだったり、あとココ・ホームの場合は不動産に付帯する保険や金融などの他の分野を合わせて顧客様のケアをしているので、そういう意味ではあまり影響はないのでは?と思っています。
もっと言うと、透明になった世界は不誠実な会社がいなくなるということです。
つまり真面目にやっている事業者にとっては何も変わりません。
むしろライバルが減るから良いのでは?とも思います。
本当は価値がない物件を「価値がありますよ!」と今まで販売していた会社があったりもしますが、それがなくなるということです。
2,000万円の物件があったとして、この物件を1,000万円で購入できるノウハウがある会社は必ず2,000万円で販売できますよね?
仕入れのノウハウというものがあって、持ち主が本当に困っていて売却をしたいとか、訳あって手放したい物件や競売の案件を引っ張ってくるノウハウがあるかどうかなど。
こういうのはまさに不動産業の専門の話なので、このようなことができれば変わらず利益を取ることができると思います。
そもそもデジタル化が普及していくことによって、サービスがなくなるのでは?という論調がありますが不動産や金融のような専門分野は無くならないと思います。
なぜなら、対面でしかできない価値が上がっていくわけなのです。
「人に相談したい!」「その人からサポートを受けたい!」というところに特化していき、顧客満足を追求していければ今後も不動産業は繁栄すると思います。
不動産業が繁栄して且つ、個人がいい取引ができるようになれば業界としても繁栄しますよね?
日本というのはアメリカ等の先進国で流行ったものが5年位遅れて入ってきます。
今回のZillowやMLSの話もそうですが、常にアメリカの情報をキャッチしておくと日本のこれからの変化をなんとなく読めるようになります。
なので、不動産取引に関しては今後間違いなく透明化していくと思います。
そうすることによって、個人が適切な不動産取引をできる状態を作ることができます。
業者である我々は国に任せて、そういう仕事はやらなくていいんです。
自分たちにしか出来ないお客様の心を動かすようなサービスを作っていったり、そういうところに集中すればいい話なので、良いことだと思います。
今日はアメリカでぐんぐん伸びている、不動産プラットフォーム「Zillow」について話をさせていただきました。
ありがとうございました。